私たちの暮らしにおいて、「イザという時に備える」ことは、とても大切なことです。家計で対応できないような経済的リスクに対して、保険によるカバーをしておくことももちろん大切です。ただ勘違いしてはいけないのは、「ただ保険に入っておきさえすればよい」というものではない、ということ。
わが国では、本当にたくさんの人がいざという時の保障を買っています。約9割の世帯が何らかの生命保険の契約をしているのが実態で、さらに年間に38万円ほどの負担をしているのです。単純に計算しても、10年間で380万円、20年間で760万円、30年間で・・。
もちろん、家計は色々ですから、一概にその金額が多いとも少ないとも言えません。裏返せば、みんながどれくらい保険料を支払っているか、あるいは平均的な支払い金額はいくらなのかということを知ったところで、わが家の参考にはならないということです。
問題は、各々の世帯で支払っている保険料の金額が、その家計を圧迫していないか、ということ。多すぎる生命保険料のせいで家計が圧迫され、必要な支出に手が回らなければ本末転倒。イザという時の備えが過剰なために足元の家計の首を絞めてしまう「保険ビンボー」に陥ってしまいます。
そもそも生命保険は、死亡や入院という、極めて限られた「イザ」をカバーするのが目的ですから、他の「イザ」には対応できないもの。どのような「イザ」にも対応できるように、手元の貯蓄をしっかりと増やしていきながら、また貯蓄が不十分で、イザという時に充分対応できない時期だけ保険でカバー。そして、貯蓄が積みあがったら保険は卒業する。こうした考え方が、周りの意見に振り回されずに、わが家なりに上手に保険と付き合う基本的な姿勢といえるでしょう。
わが国が保険大国といわれて久しい昨今。およそ9割の世帯が、1世帯当たり年間38万円もの保険料を支払っています。ただ、保険は入っていればいいというものではありません。貯蓄が不十分なときに必要な金額を必要な期間だけ補ってあげれば充分。家計状況の異なる他の世帯が、いくら保険料を支払っていようが、あまり気にすることはありません。